ノミとシラミのワルツ


ノミとシラミは出会った

ノミとシラミは恋をして

ノミとシラミは愛し合った

そのまま幸せに生を終えた


次の生を受けたとき

ノミはシラミだった

シラミはノミだった


シラミとノミは出会った

シラミとノミは恋をした


シラミは大きくなった身体で

「あのとき彼はこんな優越を感じていたのか」

と考えた


ノミは小さくなった身体で

「あのとき彼女はこんな劣等を感じていたのか」

と考えた


それでも

ノミとシラミは愛し合った

そのまま幸せに生を終えた


次の生を受けたとき

シラミはヒトだった

ノミはヒトだった


ヒトとヒトは出会い

ヒトとヒトは恋をした


ヒトは

「ようやく同じ種に生を受けた」

と喜んだが


ヒトは

「それなのに何故こんなにも優越と劣等を感じるのだろう」

と悲しんだ


ヒトとヒトは愛し合ったが

長すぎる時間の中で

最期まで共に居ることは出来なかった