discourteous table of Aria Lyrica


メルロー・サローの不愉快な言動 めるろー・さろーのふゆかいなげんどう 
ルイス・ジュニアの不都合な戦闘 るいす・じゅにあのふつごうなせんとう 
ジュナ・カワサキの不誠実な行動 じゅな・かわさきのふせいじつなこうどう 
ユミテル・シャトーの不可解な失踪 ゆみてる・しゃとーのふかかいなしっそう 
ジョン・C・コリンズの不可避な運命 じょん・しー・こりんずのふかひなうんめい 


酔いどれマーサの踊る庭 よいどれまーさのおどるにわ 
呆れ返るほどの宴 あきれかえるほどのうたげ 
夢見る46歳の昼下がり ゆめみる46さいのひるさがり 
ドラマの恋愛に感情移入するよりも容易く どらまのれんあいにかんじょういにゅうするよりもたやすく 
聴こえ撓る声の主は きこえしなるこえのあるじは


恐ろしい他人の好意 おそろしいたにんのこうい 
残酷な他人の善意 ざんこくなたにんのぜんい 
夕暮れ茜色のドレス ゆうぐれあかねいろのどれす 
新しい恋に溺れるような部屋で あたらしいこいにおぼれるようなへやで 
木々のざわめきのダンス きぎのざわめきのだんす


午前3時に飲むカルア入りホットミルクのこと ごぜん3じにのむかるあいりほっとみるくのこと 
何もしない時間を捜しに なにもしないじかんをさがしに 
断電日和 だんでんびより 
この腕の中、良い夢を このうでのなか、よいゆめを 
虚勢を張るのも終わりにして きょせいをはるのもおわりにして


陽の光に罪悪感を感じながら ひのひかりにざいあくかんをかんじながら 
見知らぬ侵入者による朝食 みしらぬしんにゅうしゃによるちょうしょく 
犯行後申告 はんこうごしんこく 
確認は最後まできちんと かくにんはさいごまできちんと 
結末も知らない けつまつもしらない


言葉を持たない感情 ことばをもたないかんじょう 
煌びやかなタイトルたち きらびやかなたいとるたち 
美しくて空虚な呼び名 うつくしくてくうきょなよびな 
見下し尊ぶ女の一生 みくだしとうとぶおんなのいっしょう 
生と死だけでない人生のこと せいとしだけでないじんせいのこと


夜明け前には消えてしまう小さな寂しさについて よあけまえにはきえてしまうちいさなさみしさについて 
舌先から放たれる不器用な熱情 したさきからはなたれるぶきようなねつじょう 
指折り数える正しさの系譜 ゆびおりかぞえるただしさのけいふ 
既にあるものを疑うということ すでにあるものをうたがうということ 
自己肯定感を育むべし、と140の文字列は言うが じここうていかんをはぐくむべし、と140のもじれつはいうが


感情とは別の歌声について かんじょうとはべつのうたごえについて 
大きく息を吸って吐いたときにまだ残っているもの おおきくいきをすってはいたときにまだのこっているもの 
生産的でない時間によって産み出される平穏 せいさんてきでないじかんによってうみだされるへいおん 
耳馴染みのない異国の言葉では何も みみなじみのないいこくのことばではなにも 
異人のように踊れ いじんのようにおどれ


目指すゴールに着いたあと めざすごーるについたあと 
いつもより少し良いわたしで いつもよりすこしよいわたしで 
あらゆることから逃げ続ける物語 あらゆることからにげつづけるものがたり 
努力せず、背伸びせず、穏やかに、なだらかに、暮らせたら 
どりょくせず、せのびせず、おだやかに、なだらかに、くらせたら
 

耳ざわりの良い断定的な言葉がもたらすもの みみざわりのよいだんていてきなことばがもたらすもの


真冬の湖で芯まで冷やせば まふゆのみずうみでしんまでひやせば 
古い列車に揺られて揺られて ふるいれっしゃにゆられてゆられて 
遠くへ遠くへ(逃げたい逃げたい) とおくへとおくへ(にげたいにげたい) 
ボタンを押さなかった方の自分へ ぼたんをおさなかったほうのじぶんへ 
おやすみおやすみ(もう起こさないでね) おやすみおやすみ(もうおこさないでね)